Contents Design Science
Contents Design Scienceでは,コンテンツ制作に人間の感性や創造的行為を理論的に分析し,応用することを目指します.
Contents Design Science とは
「Contents Design Science」とは,コンテンツ制作において「デザイン知識」とその知識を用いる「デザイン行為」を応用する試みのことです.
「デザイン知識」は,科学的知識や人類共通の概念・感性などの「客観的知識」と,個人,集団,あるいは地域などに特有の知識で一般性がない「主観的知識」で構成されます.これらを理論的に分析・体系化し,「デザイン行為」を通してコンテンツを実装するのが,「Contents Design Science」です.
以下にこれまでの研究例を紹介しますので,参考にしてください.
映像・アニメーション制作における「Contents Design Science」
現在の映像制作現場では,デジタルツールを利用するのが当たり前となっています.デジタルツールを利用することの利点は,作業の効率化,および低コスト化などが挙げられます.
しかしながら,そのようにして制作された映像はノイズのない高彩度なものとなることが多く,背景部分と動画部分がマッチングしていないため,違和感のある作品が多く見受けられます.
そこで,デジタルツールを利用した映像制作において動画部分と背景を違和感なくマッチングさせる手法を研究し,映像・アニメーション作品を制作しました.
360度動画制作における「Contents Design Science」
近年の「360度動画」とは,横360度,縦180度全方位を撮影している動画のことです.
表示ビューワー上ではパノラマ映像の一部が表示され,表示部分をインタラクティブにマウスやジャイロセンサーで動かすことによって,パノラマの全体像を鑑賞する「VRパノラマ形式」の映像が注目を集めています.
しかし360度動画は,これまでは撮影で利用したレンズの画角のままでレンズを向けた方向にしか表現出来なかった映像表現の可能性を広げるものとしても期待できます.
本研究では,そのような360度動画の可能性を追求した作品制作を行うと同時に,鑑賞者がどのような点に注目して見ているのか,映像のどのような要素に何を感じるのかを研究しています.
アプリ開発における「Contents Design Science」
iPad などのタブレット端末における2次元空間の平面的な表現において,操作者の奥行き知覚を増幅させるために視覚情報と聴覚情報による奥行き効果を検証する実験を行い,それぞれの奥行き効果を増幅するための手法を明らかにしました.
この研究により明らかになった視覚情報と聴覚情報における奥行き効果を利用して,影絵制作アプリケーション「Shadow Picture」と,Webサイト制作時にデザイン・プロトタイプを制作できるデザイン支援アプリケーション「MEISAI」を開発しました.
プロジェクションマッピングにおける「Contents Design Science」
近年,プロジェクションマッピングという映像表現技法が世界中で注目されています.プロジェクションマッピングとは,立体物の形状に合わせた映像をプロジェクターで投影し,実際の物体が動いているような印象を与えたり,違う物体になってしまうかのような印象を与える映像表現技法です.
最近ではディズニーランドでも利用されるなど,ますますその利用価値が高まっています.
しかしながら,プロジェクションマッピングが浸透してきた現在においてもその用途はエンターテインメントとしての利用が主となっています.そこで本研究では,プロジェクションマッピングを実生活に活用するため,階段に映像を投影して昇降動作の支援を試みています.